書籍内容  ミミズから音楽が鳴る──そんな奇妙な着想からMIMIZUは生まれました。qubibi（勅使河原一雅）が7年の歳月をかけて育て上げたのは、単なるアルゴリズムではなく、不思議な躍動感を宿すうねる形態。制御と自由の狭間を漂う有機的なアルゴリズムが紡ぎ出す表現は、コンピューターアートの無機質で計算的なイメージを打ち破り、むしろ生命そのものを思わせる豊かさを湛えています。 2018年の映像作品に始まり、静止画へと発展したMIMIZU（ミミズ）シリーズは、ニューヨークのギャラリー「Nguyen Wahed」での展覧会「Last Tango」をもって完結を迎えました。代表作「hello world」から進化を遂げた作品群は、複雑に絡み合う線が織りなす、緻密な表現を描き出しています。 各作品は固有の線の構造を持ち、幾重にも層が織り重なる「デジタルステッチ」と作家が呼ぶ技法で描かれています。MIMIZUの断面に現れる幻惑的な風景は、太古の自然や星々が散らばる夜空のように、それぞれが内包する独自の世界を表現しています。 本書は600ページの重厚な一冊として、この稀有な実践の軌跡を収録。90冊限定の手製本による装丁、4種類のカバーデザイン（うち3つには未発表作品を使用）、特注の赤いスリーブ、そしてMimi NguyenとCasey Reasによる書き下ろし解説文──すべてが作品の世界観と呼応する美しい造本で実現されています。 コードから生まれた視覚表現の結晶であるMIMIZUの集大成。7年間の創作を記録した書籍として、また限定版ならではの美しい造本を堪能できる一冊として、至高の作品集です。 限定90部のうち、5部をサンエムカラーのストアで特別販売。 書誌情報  タイトル：MIMIZU サイズ：25x34.5 cm ページ数：600フルカラー 収録作品数：384点 限定90部（＋AP5部） 用紙　表紙：カラープラン-FSブラック 217kg／中面：b7バルキー 69kg アーティストのサインとシリアルナンバー入り。一冊一冊手作りで、ユニークな背表紙が特徴。4種類の表紙。縁は国産無農薬インクで一枚一枚手描き。厚手の赤い特殊素材を使用したスリーブ入り。 寄稿者：Mimi Nguyen and Casey Reas 制作年：2024 作家紹介 勅使河原一雅（qubibi） 東京都池袋生まれ。中学校卒業後、日本橋服地加工工場に勤務ののち、複数の職を経てデザイン会社に入社、ウェブデザインに従事。2006年に独立し、「qubibi」を屋号として制作活動を行う。14～24年、多摩美術大学統合デザイン学科非常勤講師を務める。D&ADイエローペンシル、One Show Interactive金賞、カンヌ国際広告賞銀賞、文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門優秀貸など、受賞歴多数。17～18年にMuseum of Digital Art（チューリッヒ）、23年にCromwell Place（ロンドン）などで個展を開催しているほか、グループ展参加も含めて海外での活動も盛ん。直近では、24年12月15月～25年1月31月まで、Nguyen Wahed（ニューヨーク）にて個展「Last Tango」を開催した。 https://qubibi.org 展示情報  本書は、ニューヨークで開催される個展「Last Tango」にて発表された。 https://nguyenwahed.com/exhibitions/11-last-tango-qubibi/overview/